*以下、山陰中央新報2016年1月18日版記事より転載
アイメック栽培ベトナムで導入
出雲・農援隊 高品質野菜の生産支援
農業コンサルティング事業を手掛ける、農援隊(出雲市下古志町、小豆沢斉社長)が普及に取り組むハウス栽培の新技術「アイメック栽培」がベトナムで導入された。IT技術を活用した農業事業を展開する富士通(川崎市)が、現地のIT企業と首都ハノイに開設したハウス施設で、付加価値の高い野菜を生産する手法としてアイメックを採用した。同国は経済成長に伴って、食の安心・安全へのニーズが高まっており、農業振興を支援する。
アイメック栽培は、微細な穴が開いた特殊フィルムの上に土を盛り、作物を育てる手法。フィルムは水と養分だけを通し、最近は遮断するため、農薬の量を抑えられるほか、水分調整で作物にストレスをかけ、高糖度トマトなどを栽培できる。神奈川県の衣料品メーカーが人工透析技術を応用して開発し、農援隊が特約店として普及に取り組む。
富士通などが2015年12月に設置したハウスは、敷地面積が約400平方メートル。温度や湿度、日射量などをセンサーで測定し、数値に応じて遮光カーテンや換気扇の稼働を自動的に調節する。経済成長に伴って同国内では食の安心・安全へのニーズが高まっており、ベトナムの国立農業研究所が技術協力している。
ハウスでは、トマトの苗約900本を植え付け、監視カメラを通し、農援隊が葉や茎の生育具合を確認し、必要に応じて現地スタッフに指示を出す。16年2月末に初回の収穫を予定している。
当面データの収集、分析作業を行いながら、品質や収量の安定化を図る。一定規模の継続栽培が可能と判断した段階で、現地の農家や企業への技術普及を本格化する。
小豆沢社長は「ベトナムで高品質、安全な作物をつくり、さらなる海外展開を進める上でのモデルケースにしたい」と話した。ベトナムからは、研修生の出雲への受け入れ事業も始めており、同国などでの農産物の安定生産や付加価値の向上を担う人材育成にも力を入れる。