Nouentai Magazine


農業を始めるうえで、どんな作物を育てるかと同じくらい重要なのが「どこで育てるか」、すなわち土地選びです。実は、多くの新規就農者が“安価な土地”という理由だけで土地を選び、その後に想定外の整備費用や作業の非効率に悩まされています。ここでは、就農に向けた土地選びで失敗しないための具体的なチェックポイントを、現場目線で解説します。

1. 水はけの良さは絶対条件

土地が水を溜めやすいかどうかは、作物の生育や病害虫発生に直結します。例えば、トマトやイチゴなどの果菜類は水はけの悪い土地では根腐れや病気を起こしやすくなり、収量が落ちます。最低でも1時間に30mm以上の透水性があることが望ましいとされています。現地で雨上がりの水たまりの様子を見る、地元農家に尋ねるなどの確認が効果的です。

2. 十分な日照が確保できるか

農作物の光合成には、十分な日照時間が不可欠です。特に冬季に栽培を考えている場合は、1日平均4時間以上の日照が確保できる土地が理想的です。また、冬季は日の登りが低いため特に注意が必要です。山間部や住宅の陰になる場所、北向き斜面などは避けるべきです。

3. 強風・潮風のリスク

風はハウスの倒壊、作物の傷み、病気の伝播などは、農業経営にとって重大なリスク要因です。特に海沿いや山の谷間では突風や潮風の影響が大きく、防風ネットや防風林の設置が必要になるケースもあります。風害が過去に発生していないか、地域の自治体や農協に確認しておきましょう。

4. 土壌の性質と肥沃度

土地の見た目だけではわからないのが土壌の状態です。pH(酸度)、EC(塩分濃度)、有機物含有量、CEC(保肥力)などの土壌診断結果が重要な判断材料になります。初期の土壌改良(堆肥・石灰投入など)に数十万円かかることもあるため、事前の土壌調査は必須です。

5. 農地の地目と法的条件

農業を行うには、「地目が農地」として登記されていることが原則です。雑種地や宅地では、農地転用の手続きが必要で、許可が下りない場合もあります。農地法の規制により、所有や賃借に制限がある場合もあるため、事前に農業委員会等に相談を行いましょう。

6. インフラの有無(給排水・電源)

栽培施設を設置する際には、農業用水の確保と排水経路の整備が不可欠です。特にビニールハウスや点滴灌水を導入する場合、電源や水源の位置によって配管・配線コストが数十万円単位で変動します。井戸を掘る場合、深さ30mで100万円程度の費用がかかるケースもあります。

7. 機械が入れる道路・進入路

トラクターや運搬車がスムーズに入れる道幅(最低でも3m以上)、曲がり角の余裕、舗装状況などは、日々の作業効率を大きく左右します。道幅が狭い、泥道、傾斜が強い土地は、機械作業に大きな支障をきたします。

8. 安価な土地には裏がある?

「坪単価が安い」「市街化調整区域だから安い」など、価格面だけで選ぶと失敗するケースが多数あります。特に注意すべきは、以下のようなケースです。
 ・過去に排水トラブルがあった
 ・土壌が痩せていて大幅な土壌改良が必要
 ・近隣に臭気・害虫などの問題がある

最初に安くても、整備費や補修費で100万円以上の追加投資になる場合もあります。

農援隊による土地選定サポート

株式会社農援隊では、土地選定の段階から、アイメック農法に最適な立地や施設配置のアドバイスを行っています。現地同行によるチェックや、土壌分析の手配、農地法の手続き支援まで、一貫して対応可能です。
「この土地、安いけど本当に大丈夫?」と思ったら、お気軽にご相談ください。