Nouentai Magazine


新しく農業を始めようと思ったとき、まず誰もが悩むのが「何を栽培すればよいのか?」という問いです。農業は単に作物を育てるだけでなく、事業として成り立たせる必要があります。だからこそ、「儲かる作物」や「安定して売れる作物」を選びたいものです。しかし、実際には地域の気候、設備投資、販売ルート、自分のライフスタイルなど、さまざまな条件を加味する必要があります。この最初の選択が、農業経営の将来を大きく左右すると言っても過言ではありません。

作物選びの4つの視点

新規就農者が作物を選ぶ際に考えるべき視点は主に4つあります。1つ目は「市場性」、つまりその作物が売れるかどうかです。たとえば、トマトの国内市場は約2,000億円規模とされており、特に高糖度のフルーツトマトは高付加価値商品として注目を集めています。2つ目は「技術難易度」。葉物野菜は比較的簡単ですが、果菜類(トマト・ナスなど)は管理が必要な反面、単価が高いという特徴があります。3つ目は「収益性」。フルーツトマトは1kgあたり500〜1,200円で販売されることもあり、1反(約1,000㎡)あたり年間収益が150万〜300万円になるケースもあります。そして4つ目が「自分に合っているかどうか」です。例えば夏場の重労働が多い作物を避けたい場合は、施設栽培なども選択肢に入ってきます。

アイメック農法が開く新たな選択肢

近年注目されている「アイメック農法」は、これから就農を考える方にとって魅力的な選択肢となりえます。特殊なフィルムを使ったこの栽培法では、病害のリスクを最大70%軽減できるとされ、農薬の使用量を大幅に削減できます。また、水使用量は通常の1/10程度で済むため、ランニングコストの低減にもつながります。特にフルーツトマトでは、糖度が平均で8〜10度と高く、一般のトマト(5〜6度)との差別化が容易です。こうした高品質の商品は、百貨店・通販・レストランなどへの販路拡大にもつながりやすく、初心者でも高収益を目指せる可能性があります。

フルーツトマトという選択の魅力

フルーツトマトは、高糖度で付加価値が高く、贈答用や業務用など多様なニーズが存在するため、販売戦略が立てやすい作物の一つです。アイメック農法で栽培すれば、糖度・見た目・味で他との差別化が可能となり、ブランド化にもつながります。価格は1パック(200g〜300g程度)500円〜1,000円で販売されるケースもあり、一般的なトマトに比べて2〜3倍の価格帯です。また、周年栽培に対応できるハウスであれば、1反あたり年間収量8〜10トン程度を確保する例もあり、売上ベースで年間800万〜1,000万円が見込まれるケースもあり、安定的な収益が期待できます。

誰に売ればいいのか?販路戦略の基本

栽培した作物の販路をどうするかは、就農後の経営に直結する極めて重要なポイントです。販売先には、直売所・道の駅・JA出荷・量販店・百貨店・飲食店・オンラインショップなど様々な選択肢があります。たとえば直売所や道の駅では、1パックあたりの利益率は高いですが、出荷量に限りがあることも。一方、量販店や業務用販売は単価が下がりがちですが、安定した出荷が期待できます。どの販路を選ぶかによって、必要な作業量や品質管理のレベルも変わってきます。
しかし、最初からすべての販路を広げようとするのは得策ではありません。まずは「誰に売りたいか」を明確にし、それに合わせて作物や栽培方法を設計するべきです。たとえば、レストラン向けに安定供給したいなら、通年栽培が可能な施設を選ぶことになりますし、贈答用の高級トマトをオンラインで販売したいなら、見た目の美しさや安定した糖度の品質管理が重要です。このように販売戦略は、生産計画とも密接に連動しているのです。

最初の一歩は「情報収集」から

作物選びに正解はありません。しかし、情報を集め、しっかりと比較検討することで「失敗しにくい選択」はできます。たとえば農林水産省の統計データや、地域の農業試験場・普及センターなどが発信する技術資料、民間のコンサルティング会社の資料などが有用です。また、農援隊では年間20件以上の新規、既存顧客の支援を行っており、現地見学や収支シミュレーションの提供も行っています。こうした機会を活用することで、自分にとって最適な作物がより具体的に見えてくるでしょう。
農援隊では、アイメック農法によるフルーツトマト栽培を中心に、新規就農者の作物選びや経営プランづくりをサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。