ニュース, メディア情報

*以下、日本経済新聞2019年2月22日版記事より転載

少ない水で栽培 海外展開
農援隊、アフリカとインド

農業技術指導の農援隊(島根県出雲市)は、みずほ情報総研などと組み、アフリカとインドで土壌の質に関係なく栽培できる新農法の普及に乗り出した。アフリカのボツワナで現地の日系農園への導入で合意。インド北部の州では政府機関への導入に向け調査に入った。アフリカやインドは近年高い経済成長が続き、高品質な食品に対する需要が高まっている。農業の効率化を後押しし、事業拡大を図る。

農援隊が両国で普及させるのは、ビニールハウス内で特殊なフィルムを使って栽培する「アイメック」と呼ばれる農法。少ない水で高付加価値の農産物を生産できる。インドでは首都ニューデリーに近くにあるウッタルプラディシュ州で展開していく。

ボツワナは国土のほとんどが砂漠や乾燥地で水資源も少なく、農業に適する土壌が限られる。一方、ウッタルプラディシュ州は農業への依存度が高く、人口が急増する中で食糧の安定的な生産拡大が急務となっている。

同社は1月下旬に両国にそれぞれ社員を派遣し、事業計画策定などのコンサルティングを委託しているみずほ情報総研などと共に、現地調査や実証実験などを実施した。その結果、ボツワナでは日系企業が首都近郊で運営する野菜農園への導入が決まった。

ボツワナではアイメック農法を用いて、同農園が今年中にトマトの本格栽培を始める。同国は穀物や野菜などを隣国の南アフリカやジンバブエからの輸入に頼っており、中でもトマトの輸入額は年間3億円にのぼるという。

同農園は同国政府が農産物の国内生産拡大を目指していることに合わせ、3年後をめどに同国内で1億5000万円程度の生産を担うことを目指す。

ボツワナでの展開には、機械設計や水質分析を手掛ける東京大田区の中小企業7社も協力する。農援隊はみずほ情報総研や同区の企業などと2017年、コンソーシアム(共同体)「おおた農水産業研究会」を結成している。農園での生産性向上のため、自社技術や製品を提供する。

ウッタルプラディシュ州ではまず、ビニールハウスで野菜などを栽培している州政府機関の施設に導入していく考え。

アイメック農法で栽培した農産物のうまみや甘さをアピールし、同国で増えている富裕層に販売する。ボツワナでの栽培ノウハウも活用し、1~2年内の本格展開を目指す。

農援隊は全国で農業参入用の設備提供やコンサルティングを展開し、事業収入を得ている。18年3月期の売上高は約3億円。19年3月期も同程度の売り上げを見込む。海外展開などを通じ、21年3月期に4億円への拡大を計画している。

小豆沢斉社長は「今後はアフリカのルワンダやウガンダなどへの進出も視野に入れている」としている。