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*以下、山陰中央新報2015年10月14日版記事より転載

病気リスクや農薬減
アイメック栽培海外へ
出雲・農援隊 外国人の研修開始

ハウス栽培の新技術「アイメック栽培」の普及に取り組む、農援隊(出雲市下古志町、小豆沢斉社長)が、外国人の研修事業を始めた。第1弾として、中国人とベトナム人の技術者計7人がこのほど、同社で座学や実地研修を受けた。気象条件が悪い地域や、農業技術が未発達の国などで同技術を活用したトマト栽培などを広め、農産物の安定生産や付加価値向上に役立ててもらう。(錦織拓郎)
アイメック栽培は、ナノ(10億分の1)メートルレベルの微細な穴が空いた特殊フィルムの上に培土を盛り、フィルムの下から養液チューブで水や養分を与えて作物を育てる。水や養分を透過させる半面、細菌の侵入は遮断するため、土耕栽培と比べ、病気のリスクや農薬を減らせる。水分量を調整し、作物にストレスをかけて育てることで、高糖度の野菜も作れる。
神奈川県の医療メーカーが人工透析に使う膜の技術を応用して開発し、農援隊が特約店として全国で普及に取り組む。
9月28日から2週間あった初めての研修には、母国で農業関連法人の幹部や技術者を務める中国人5人とベトナム人2人が参加し、農援隊スタッフの指導でアイメックの仕組みや利点を学習。ハウスでは、養分が実に集中するようトマトの余分な芽を取ったり、茎が倒れないように支柱に結びつけたりして栽培手法を体験した。
中国・四川省の農業法人で生産部門の責任者を務める李懐軍さん(52)は、糖度など付加価値を高め、通常より高値で販売できる特徴を評価し、「中国国内で技術を広めたい」と力説した。
農援隊の小豆沢社長は「気象条件が悪く、農作物が育ちにくい地域などで、技術を普及させたい。外国人を継続的に受け入れ、出雲を研修のメッカにしたい」と話した。